行政書士とは

1行政書士の業務について

行政書士は、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づき、他人の依頼を受け、報酬を得て、次のような業務を行うことができます。
1.官公署(国または地方公共団体の諸機関)に提出する書類、その他権利義務、事実証明に関する書類(事実調査に基づく図面類を含む)を作成すること
2.それら作成した書類を依頼者の委任を受け、官公署に提出する手続を代理すること
3.官公署に提出する書類に係る許認可等に関して行われる聴聞または弁明の機会の付与の手続、その他意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(事件性のない法律事務)について代理すること
4.契約その他に関する書類を代理人として作成すること
5.行政書士が作成することができる書類作成の相談に応じること

なお、2.4.5.の業務は、平成13年6月29日公布、平成14年7月1日施行の法律第77号により、また、3.の業務は、平成20年1月17日公布、平成20年7月1日施行の法律第3号により認められるようになりました。

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2行政書士の業務範囲

行政書士の業務範囲は、他の法律(弁護士法、司法書士法、税理士法、社会保険労務士法、建築士法、土地家屋調査士法、海事代理士法、弁理士法等)に制限されているものを除いて、官公署に提出する書類の作成、手続代理、聴聞・弁明の代理、権利義務・事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)の作成(代理人として作成するものを含む)、および書類作成に関する相談業務、それらすべてが、行政書士の業務範囲となっています。

3行政書士業務の変遷

われわれを取り巻く社会状況は、個々の価値観が多様化するなか、高齢化、国際化、情報化が進み、大きな変化を余儀なくされています。その変化に対応し、国民の権利を明確に保護するため、各種法律・規則の制定、改廃がおこなわれ、また行政機構の変革が行われるなど、社会機構は複雑になってきています。
その一方、国民生活の負担軽減を目指して規制緩和が進み、行財政改革、地方分権、行政の情報化が進められていますが、各種法律・規則の制定、改廃に伴い、役所に提出する許認可関係書類、また権利義務、事実証明に関する書類の作成は高度化してきております。また、官公署に提出する書類に係る許認可等に関して行われる聴聞または弁明の機会の付与の手続、その他意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(紛争性のない法律事務)について代理することは、専門的な知識なくしては、容易に対応しがたい状況にあります。
高度情報化通信社会にあっては、行政の情報化が推進され、ペーパレス化が図られるとともに、許認可申請の形態もフロッピーディスクやオンラインによる申請へと大きく変わってきています。

4行政書士の役割

このような中にあって、行政書士は国家資格者として、高度で専門的な知識、技能を備え、官公署に提出する書類、その他権利義務、事実証明に関する書類の作成、手続代理等を行い、国民と行政庁とを結ぶパイプ役として、行政の円滑な推進、ならびに国民の権利擁護に貢献しています。
また、行政書士は国家資格者であるところから、行政書士でない者は行政書士業務(他人の依頼を受け、報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務、事実証明に関する書類の作成)を行うことはできませんし、行政書士と混同するような名称を使用することも法によって禁止されています。

5行政書士制度の今日的意義

行政書士は、依頼人の求めに応じ、前述のような書類を正確、迅速に作成することにより、依頼者の権利、利益を守り、また行政当局においても行政書士によって作成され、提出された書類が正確、明瞭に記載されていることにより、効率的な処理が確保されるという公共の利益に資しています。
昭和26年の行政書士法制定以来、50年余が経過しました。その間社会機構の複雑化、高度化が進み、行政書士のあり方もかつての代書業的な内容から極めて高度な法律知識をもって、社会生活の複雑、高度化に対応する法律コンサルタントとしての業務内容に変貌してきています。
今日における行政書士制度の意義は、複雑、高度化する社会に伴い行政手続も国民の権利を守るため、ますます複雑になってきているなかにあって、行政事務の簡素合理化、効率化を高めるためには、行政庁に提出される書類の正確性、明瞭性、迅速性が要求されております。
行政書士は、国民と行政庁を結ぶパイプ役として、その専門知識をもって提出書類の正確さ、迅速さを確保し、国民の諸権利を守り、行政の円滑な推進に貢献しています。